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コラム/技術

低炭素アルミのプロセス追跡
ESG表示に見る企業価値

夏になると「あぁ、これが気候変動なんだ」と感じることが多くなります。たびたび起こる集中的な大雨であったり、毎年上積みされるような暑さであったり……。

厳しい暑さを表す言葉に「酷暑」があります。「酷」の漢字の成り立ちを調べると「キュッと口を引きしめさせるような味の濃い酒の意を表す」とありました。ですが、夏に合うお酒といえばビールを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。今回はそんなビールにまつわる話題からESG表示付きの低炭素アルミ缶を使ったビールがカナダで試験販売されたとのニュースです。

ESGもSDGsと同じように最近よく聞くようになった単語です。Environment(環境)Social(社会)Governance(ガバナンス)の頭文字を取った言葉で、企業が長く成長していくためにはこれら3つの観点への配慮が必要という考え方です。投資判断の観点としても重要視されています。「ESG投資」という言葉もよく聞きますよね。

さて、この飲料缶は2つのアルミを組み合わせて製造されています。1つはリサイクルされたアルミ。もう1つは再生可能な水力発電と温室効果ガスを発生しない精錬技術を使った低炭素アルミです。そして北米従来の製造技術を使った同社エクストラ缶より炭素排出量を30%以上削減しているそうです。

低炭素とともに興味深いのが「ESG表示」です。缶に掲載のQRコードを読み取ると、このアルミ缶がどのように製造、調達されたかプロセスを追跡することができます。将来的にはプロセス全体の二酸化炭素排出量が確認できるようになるとか。要は低炭素の見える化ですね。

消費者である私たちのほとんどは、手元に届く商品の完成形しか知りません。ゆえに「水力発電を使った低炭素アルミ」と言われたら、言われるがまま信じるしかありません。
ですが、商品の背景がわかり裏付けをとることができれば、消費者には安心感につながり、商品選びに役立ったり、環境問題に対しても意識を高めたりできるのではないでしょうか。もちろん、企業側の作る責任もますます問われることになるでしょう。

持続可能な社会実現を目指し、世界の名だたる企業が社会的課題に取り組んでいます。その中心となるのが資源のリサイクルと言えます。それをいかに製品へ取り込み、企業価値につなげていくか、多彩な展開が研究されています。

様々な先端技術とつながりながらリサイクル社会は未来へ向けてさらに広がっていきます。その一翼を当グループも担っています。

出典:水上静夫・武部良明・鈴木修次編「角川最新漢和辞典 改訂新版」角川書店,1995,816p
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